新生児を育てる中で、多くの親が気にかけることの一つが「体重の増加」です。赤ちゃんの成長は順調かどうか、母乳が足りているか、適切な栄養が摂取できているかといった点に関して、特に初めての育児では不安がつきものです。しかし、体重が思うように増えないと感じたとき、その原因をしっかり理解し、適切に対処することが重要です。
母乳育児は、赤ちゃんにとって最も自然で栄養価の高い方法とされていますが、母乳トラブルが原因で思うように体重が増えないことも少なくありません。母乳の量が足りない、赤ちゃんがうまく吸い付けない、授乳の間隔が適切でないなど、さまざまな要因が関係しています。本記事では、新生児の体重が増えない原因として考えられる母乳トラブルと、その対処法について詳しく解説します。
体重の増加に不安を感じている方や、母乳育児に悩んでいる方に向けて、実践的なアドバイスと専門的な情報を提供しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
新生児の体重増加が遅い原因
新生児の体重増加は、健康状態を示す重要な指標の一つです。通常、赤ちゃんは生まれてから最初の数日間で一時的に体重が減少しますが、これは生理的なもので、通常は心配する必要はありません。しかし、その後は体重が増加に転じ、順調に成長することが期待されます。新生児の体重が増えない、または増加が遅い場合、いくつかの要因が考えられます。
1. 母乳不足
新生児の体重増加が遅い最も一般的な原因の一つは、母乳の量が十分ではないことです。母乳が赤ちゃんに必要な量だけ供給されていない場合、栄養不足となり、体重の増加が遅れることがあります。母乳不足の原因としては、以下のようなことが考えられます。
- 母乳の分泌量が少ない: 母乳の分泌量は、母親の体調やホルモンバランス、授乳の頻度などに影響されます。出産後すぐには母乳の分泌が十分に始まらないこともあり、その結果、赤ちゃんが必要とする栄養を十分に摂取できない場合があります。
- 頻繁な授乳が行われていない: 新生児は1日に8回から12回程度の頻繁な授乳が推奨されています。母乳は「需要と供給」の関係にあり、赤ちゃんが頻繁に授乳することで母乳の分泌が促進されます。授乳の回数が少ないと、母乳の分泌量が減少し、赤ちゃんに十分な栄養が行き渡らないことがあります。
2. 授乳の仕方や姿勢の問題
赤ちゃんがうまく母乳を吸えない場合も、体重増加が遅れる原因となります。母乳を効率よく吸うことができないと、必要な量の母乳を摂取できず、体重が増えないことがあります。
- 吸い付きが不十分: 新生児が正しく乳首に吸い付けていない場合、十分な母乳を吸い出せません。吸い付きが浅いと、母乳の摂取量が減少し、また母親の乳首にも負担がかかり、授乳が困難になることがあります。正しい吸い付きのためには、乳首全体をしっかりとくわえさせることが重要です。
- 授乳姿勢の問題: 授乳時の姿勢も、母乳の摂取に影響を与えます。赤ちゃんの頭と体がまっすぐになっていること、母親が楽な姿勢であることが重要です。特に、赤ちゃんの口が乳首の高さにあることを確認し、首を曲げたり、体がねじれたりしないようにしましょう。
3. 新生児の健康状態
新生児自身の健康状態も、体重増加に影響を与える要因です。特に、何らかの健康上の問題を抱えている場合、栄養の摂取が十分にできず、体重が増えにくくなることがあります。
- 早産や低出生体重児: 早産や低出生体重で生まれた赤ちゃんは、体重の増加が遅れることがあります。これらの赤ちゃんは、母乳を吸う力が弱かったり、消化器系が未熟であったりするため、栄養の吸収が十分でないことがあります。
- 消化吸収の問題: 一部の新生児は、消化器系に問題を抱えており、摂取した栄養を効果的に吸収できないことがあります。例えば、乳糖不耐症やアレルギーなどが原因で、栄養の吸収が妨げられる場合があります。
- その他の健康問題: 心臓や呼吸器の問題など、全身的な健康状態が影響することもあります。これらの問題があると、赤ちゃんは十分にエネルギーを得られず、体重が増えにくくなることがあります。
4. 哺乳補助の必要性
場合によっては、母乳だけでなく哺乳補助が必要となることもあります。母乳が足りない場合や、赤ちゃんが十分な量を飲めていない場合、ミルクを補助的に与えることで体重増加を促進できます。
- 母乳とミルクの併用: 母乳だけでは体重が増えない場合、医師の指導のもとでミルクを併用することが推奨されることがあります。ミルクを追加することで、必要な栄養を補い、体重増加をサポートします。
- 医師や専門家の相談: 母乳とミルクの併用に関しては、自己判断ではなく、必ず医師や助産師などの専門家に相談することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、赤ちゃんに最適な栄養摂取方法を見つけることが、健全な成長に繋がります。
母乳トラブルとその影響
母乳は新生児にとって最も理想的な栄養源ですが、母乳育児にはさまざまなトラブルが伴うことがあります。母乳トラブルが発生すると、赤ちゃんが必要な栄養を十分に摂取できず、体重の増加に影響を与えることがあります。ここでは、よく見られる母乳トラブルとその影響について詳しく解説します。
1. 母乳の分泌不足
母乳の分泌不足は、母乳トラブルの中でも最も一般的な問題の一つです。母乳が十分に分泌されないと、赤ちゃんは必要な量の母乳を摂取できず、体重の増加が遅れる原因となります。
- 分泌不足の原因: 母乳の分泌が不足する原因はさまざまです。ストレスや疲労、栄養不足、ホルモンバランスの乱れ、授乳の頻度が少ないことなどが影響します。特に、出産後すぐの時期はホルモンの変化が激しく、母乳の分泌が安定するまでに時間がかかることがあります。
- 影響と対策: 母乳が足りないと赤ちゃんは満足に栄養を摂取できず、体重増加が遅れるだけでなく、泣き続ける、落ち着かないなどのサインを見せることがあります。このような場合、頻繁な授乳や母乳の分泌を促進するための食事やサプリメントの摂取、リラクゼーションを心がけることが対策となります。
2. 乳腺炎や乳房の詰まり
乳腺炎や乳房の詰まりも母乳トラブルの一つで、母乳の供給に影響を与えることがあります。これらの問題が発生すると、母乳の流れが悪くなり、赤ちゃんが十分な量の母乳を摂取できなくなることがあります。
- 乳腺炎: 乳腺炎は、乳房の乳腺が炎症を起こす状態で、授乳時に激しい痛みを伴うことがあります。乳腺炎があると、母親は授乳を避けるようになり、母乳の分泌がさらに悪化することがあります。早期に治療しないと症状が悪化し、母乳育児が困難になる可能性があります。
- 乳房の詰まり: 乳房の詰まりは、乳管が塞がれてしまうことで母乳がスムーズに流れなくなる状態です。乳房が固くなり、しこりが感じられることがあります。この状態が続くと、赤ちゃんが十分な量の母乳を摂取できず、体重増加に影響を与えることがあります。温かいシャワーやマッサージで詰まりを解消することが推奨されますが、症状が続く場合は医師に相談する必要があります。
3. 母乳の過剰供給
母乳が過剰に供給されることも、逆に赤ちゃんの体重増加に影響を与えることがあります。母乳が多すぎると、赤ちゃんが短時間で大量の母乳を飲み込み、消化不良を引き起こす可能性があります。
- 過剰供給の影響: 母乳が過剰に供給されると、赤ちゃんは前乳(糖分が多く、脂肪分が少ない乳)を多く摂取する傾向があります。これにより、赤ちゃんが消化不良を起こし、体重が増えにくくなることがあります。また、頻繁にお腹を壊したり、ガスが溜まりやすくなることもあります。
- 対策: 母乳の過剰供給を管理するためには、一度に授乳する時間を短くしたり、片方の乳房からだけ授乳するなどの方法があります。また、授乳前に少量の母乳を搾り取ることで、後乳(脂肪分が多い乳)を赤ちゃんに与えやすくすることも効果的です。
4. 乳頭混乱(乳頭混乱症候群)
乳頭混乱は、赤ちゃんが乳首と哺乳瓶の乳首を混乱し、母乳をうまく吸えなくなる状態を指します。特に、早い段階で哺乳瓶を使った場合に発生しやすいです。
- 影響: 乳頭混乱が起こると、赤ちゃんは母乳を吸うことが難しくなり、必要な栄養を摂取できなくなります。その結果、体重増加が遅れることがあります。また、赤ちゃんが母乳を拒否するようになると、母親の母乳分泌も減少し、さらなるトラブルを引き起こす可能性があります。
- 対策: 乳頭混乱を防ぐためには、できるだけ早い段階で母乳育児を確立し、哺乳瓶の使用を控えることが推奨されます。もし混乱が起こった場合は、助産師や母乳育児の専門家に相談し、適切な対処法を学ぶことが大切です。
5. 母乳の質の低下
母乳の質が低下することも、新生児の体重増加に影響を与える要因となります。母親の食事や健康状態が母乳の質に直接影響を与えるため、母乳が十分な栄養を含んでいない場合、赤ちゃんが必要な栄養を摂取できない可能性があります。
- 影響: 母乳の質が低下すると、赤ちゃんは十分なエネルギーや栄養を摂取できず、体重増加が遅れることがあります。母親が十分なカロリーや栄養素を摂取していない場合や、過度なストレスを感じている場合、母乳に含まれる栄養素のバランスが崩れることがあります。これにより、赤ちゃんが必要とする脂肪やビタミン、ミネラルが不足し、体重が増えにくくなることが考えられます。
- 対策: 母乳の質を保つためには、バランスの取れた食事と十分な水分摂取が重要です。特に、授乳中は通常よりも多くのカロリーが必要とされるため、栄養価の高い食事を心がけましょう。また、ストレスを軽減するためにリラックスできる時間を持つことも大切です。必要であれば、栄養士や医師に相談し、適切なサプリメントの使用を検討することも有効です。
母乳トラブルへの対処法
母乳トラブルは新生児の体重増加に影響を与える重要な要因ですが、適切な対処法を知っていれば、これらの問題を克服し、母乳育児を続けることができます。ここでは、母乳トラブルに対する具体的な対処法を詳しく紹介します。
1. 母乳の分泌を促進する方法
母乳の分泌が不足していると感じる場合、分泌を促進するためのさまざまな方法を試みることができます。以下の対策は、母乳の供給を増やすのに役立ちます。
- 頻繁な授乳: 母乳は「需要と供給」の関係に基づいて分泌されます。赤ちゃんが頻繁に授乳することで、母乳の分泌が促進されます。特に、生後間もない時期は1日に8回から12回の授乳が推奨されます。夜間の授乳も母乳分泌にとって重要ですので、無理のない範囲で継続することが大切です。
- 母乳ポンプの活用: 授乳以外の時間にも母乳ポンプを使って搾乳することで、乳腺が刺激され、母乳の分泌が増えることがあります。特に授乳後や、赤ちゃんが寝ている間に搾乳することで、乳腺が空になり、次の授乳時により多くの母乳が分泌されるようになります。
- 栄養豊富な食事: 母乳の質と量は母親の栄養状態に大きく影響されます。バランスの取れた食事を心がけ、特に鉄分、カルシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸などが豊富な食品を摂取することが重要です。また、十分な水分摂取も母乳分泌には欠かせません。授乳中は、通常よりも多くの水分を摂るように心がけましょう。
- リラクゼーションとストレス管理: ストレスは母乳分泌に直接的な影響を与えることがあります。リラクゼーション法や趣味の時間を持つことで、心身をリフレッシュさせ、母乳の分泌を促進する効果があります。また、パートナーや家族の協力を得て、育児の負担を軽減することもストレス管理には重要です。
2. 正しい授乳のコツとポジショニング
授乳の仕方や姿勢が正しくないと、赤ちゃんが十分に母乳を飲めず、体重増加が遅れる原因となります。以下に、効果的な授乳のコツとポジショニングについて説明します。
- 正しい吸い付き: 赤ちゃんが乳首に正しく吸い付くことが、効果的な授乳の鍵です。赤ちゃんの口が大きく開き、乳首のほとんどを口に含むようにします。吸い付きが浅いと、赤ちゃんは十分な量の母乳を吸うことができず、母親の乳首にも痛みを感じることがあります。授乳を開始する前に、赤ちゃんの口を乳首に近づけておき、自然に口を大きく開けたタイミングで授乳を始めると良いでしょう。
- 適切なポジショニング: 授乳時の姿勢は、母親と赤ちゃんの両方にとって快適であることが重要です。代表的な授乳ポジションには、「クロスクリードルポジション」「フットボールホールド」「サイドライイングポジション」などがあります。これらの姿勢は、赤ちゃんが乳首にしっかりと吸い付けるようにサポートします。特に、新生児期には、母親が疲れにくく、赤ちゃんが飲みやすい姿勢を見つけることが大切です。
- 授乳クッションの利用: 授乳クッションを使うことで、赤ちゃんの位置を安定させ、母親が楽に授乳できるようになります。クッションは赤ちゃんの頭や体を支えるのに役立ち、母親の腕や肩にかかる負担を軽減します。授乳のたびに正しい姿勢を保つために、クッションをうまく活用しましょう。
3. 乳腺炎や乳房の詰まりへの対処法
乳腺炎や乳房の詰まりは、母乳育児において非常に痛みを伴い、母乳分泌にも悪影響を及ぼします。これらの問題を早期に対処することで、母乳育児を続けることができます。
- 乳腺炎の対策: 乳腺炎の初期症状として、乳房の一部に痛みや腫れを感じることがあります。この状態を放置すると、炎症が広がり、高熱や全身のだるさを引き起こすことがあります。乳腺炎の対策としては、まず患部を温かいタオルで温めてから授乳を行い、乳房の詰まりを解消することが推奨されます。また、授乳後に冷湿布を使って腫れを抑えることも効果的です。症状が重い場合や改善しない場合は、医師に相談し、適切な治療を受けることが必要です。
- 乳房の詰まりの解消法: 乳房の詰まりが起こった場合、早めに対処することが重要です。まず、詰まりがある部分を温かいシャワーやタオルで温め、乳腺が開くように促します。その後、手や母乳ポンプを使って乳房全体を軽くマッサージし、詰まりを解消します。授乳前に少し搾乳することで、乳房の圧力を軽減し、赤ちゃんが飲みやすくすることも有効です。
4. 専門家の助けを借りる
母乳トラブルに対処する際には、専門家の助けを借りることが重要です。助産師や母乳育児の専門家(IBCLC:国際認定ラクテーションコンサルタント)に相談することで、個々の状況に合わせたアドバイスやサポートを受けることができます。
- 助産師のサポート: 助産師は、母乳育児の専門家として、さまざまなトラブルに対する実践的なアドバイスを提供してくれます。特に、授乳姿勢の改善や吸い付きの指導、乳腺炎や詰まりへの対応について具体的な方法を教えてくれることが多いです。産後の定期健診時や、母乳外来を利用して助産師に相談することができます。
- IBCLCの活用: 国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)は、母乳育児に関する高度な専門知識を持つ専門家です。授乳がうまくいかない、母乳が不足している、乳房のトラブルがある場合など、母乳育児に関する複雑な問題に対しても、適切な解決策を提案してくれます。必要に応じて、地域の母乳育児支援センターや病院でIBCLCのサポートを受けることをおすすめします。
- 医師の診察: 母乳トラブルが解消しない場合や、赤ちゃんの体重増加が著しく遅れている場合は、速やかに小児科医に相談することが必要です。医師は、赤ちゃんの健康状態を総合的に評価し、必要に応じて栄養補助や医療的な対応を提案します。場合によっては、母乳育児からの部分的または完全なミルクへの移行を検討することもあります。
5. ミルクとの併用によるサポート
場合によっては、母乳とミルクを併用することで、新生児の体重増加をサポートすることができます。ミルクの併用は、母乳だけでは十分な栄養を確保できない場合に考慮される方法です。
- 母乳とミルクの併用のメリット: 母乳とミルクを併用することで、赤ちゃんに必要なカロリーと栄養を補うことができます。これにより、体重増加が遅れている赤ちゃんに対して効果的なサポートが可能です。また、母乳の分泌が増加するまでの一時的な対策として、ミルクを使うこともあります。
- 併用時の注意点: ミルクとの併用を行う際には、母乳育児に悪影響を与えないよう注意が必要です。まず、母乳が主であることを優先し、ミルクは補助的に使用します。また、哺乳瓶の使用が乳頭混乱を引き起こす可能性があるため、慎重に進める必要があります。できればスプーンやカップを使った補助も検討してください。
- 専門家の指導のもとで進める: ミルクとの併用については、医師や助産師の指導を受けながら進めることが重要です。赤ちゃんの成長を見守りながら、適切なタイミングで併用を開始し、必要に応じて調整を行うことで、効果的に体重増加を促進できます。
体重が増えない場合の対応策
新生児の体重が予想よりも増えない場合、親としては不安を感じることが多いでしょう。しかし、焦らずに冷静に対応することが重要です。ここでは、体重が増えない場合にすぐに行うべき対応策や、専門家に相談するタイミングについて詳しく説明します。
1. 授乳の頻度と方法を見直す
まず、体重が増えない場合には、授乳の頻度や方法を見直すことが重要です。新生児は頻繁に授乳することで、母乳の分泌が促進され、十分な栄養を摂取できるようになります。
- 授乳の頻度を増やす: 通常、新生児には1日8回から12回の授乳が推奨されますが、体重が増えない場合は、さらに頻繁な授乳を心がける必要があります。授乳間隔が短くなることで、母乳の分泌が促進され、赤ちゃんが必要な栄養を得られるようになります。特に、夜間の授乳も積極的に行うことが大切です。
- 授乳時間の延長: 授乳時間が短すぎる場合、赤ちゃんが十分に母乳を飲めていない可能性があります。赤ちゃんが片方の乳房をしっかりと飲み終えるまで、少なくとも10〜15分は授乳を続けるようにしましょう。赤ちゃんが満足した様子を見せるまで、片方の乳房での授乳を続け、その後もう片方の乳房でも同様に授乳を行います。
- 授乳姿勢の調整: 授乳姿勢が不適切であると、赤ちゃんがうまく母乳を飲めず、必要な栄養を摂取できないことがあります。赤ちゃんの頭と体が一直線になるようにし、口が乳首にしっかりと吸い付けるような姿勢を保つことが大切です。必要に応じて、助産師や母乳育児の専門家に相談し、最適な授乳姿勢を確認してください。
2. 赤ちゃんの健康状態をチェックする
赤ちゃんの体重が増えない場合、健康状態に問題がある可能性も考えられます。特に、消化器系の問題や感染症などが体重増加に影響を与えることがあります。
- 排便・排尿の確認: 赤ちゃんの排便・排尿の回数や状態は、健康状態や栄養摂取の指標となります。正常な場合、新生児は1日に数回の排便と、6〜8回程度の排尿があります。これらの回数が少ない場合や、排便が硬い、色が異常であるなどの場合は、何らかの健康問題がある可能性があるため、医師に相談することが必要です。
- 体温や行動の変化に注意: 赤ちゃんが熱を出したり、普段と違うぐずり方をする場合は、健康状態が良くない可能性があります。また、赤ちゃんが極端に眠りすぎる、授乳中に疲れやすいなどの症状が見られる場合も、何らかの健康上の問題が考えられます。こうした症状が見られた場合は、速やかに医師の診察を受けることが重要です。
- 小児科医の診察: 体重増加が遅い場合、定期健診の際に小児科医に相談し、赤ちゃんの健康状態を評価してもらいましょう。医師は、赤ちゃんの成長曲線や健康状態を総合的に判断し、必要に応じて追加の検査や治療を提案します。
3. ミルクを補助的に使用する
母乳だけで体重が増えない場合、ミルクを補助的に使用することが効果的な場合もあります。ミルクを使用することで、赤ちゃんに必要なカロリーや栄養を確保し、体重増加を促進できます。
- ミルクの導入: ミルクの補助を導入する際は、まず医師や助産師と相談し、適切なタイミングや量を決めましょう。母乳とミルクを併用することで、赤ちゃんが必要とするカロリーを補うことができます。ただし、母乳育児を継続したい場合は、ミルクの使用を補助的に抑え、母乳が主となるように心がけることが重要です。
- ミルクの選び方: ミルクの種類はさまざまで、赤ちゃんに最適なものを選ぶことが大切です。消化が良く、赤ちゃんの栄養要求を満たすための成分が含まれているものを選びましょう。ミルクの導入により、赤ちゃんの体重が適切に増加することを確認しながら、必要に応じてミルクの量や種類を調整していきます。
4. 専門家の助けを求めるタイミング
体重が増えない場合、自己判断で対処しようとせず、必要なタイミングで専門家の助けを求めることが重要です。以下の状況では、早めに専門家に相談することをおすすめします。
- 体重増加が遅れている場合: 定期健診で赤ちゃんの体重増加が遅れていると指摘された場合や、自宅での測定で明らかに体重が増えていないと感じた場合は、速やかに小児科医に相談してください。医師は、赤ちゃんの成長曲線を確認し、必要な対応を提案します。
- 授乳がうまくいかない場合: 授乳時に赤ちゃんが十分に母乳を飲めていないと感じた場合や、授乳に関するトラブルが続く場合は、助産師や母乳育児の専門家(IBCLC)に相談することが重要です。専門家は、授乳の仕方や姿勢、母乳の分泌に関するアドバイスを提供し、個々の状況に応じたサポートをしてくれます。また、適切なサポートを受けることで、母親の不安が軽減され、母乳育児を継続する自信を持つことができます。
- 赤ちゃんが異常にぐずる場合: 赤ちゃんが授乳後もぐずり続けたり、落ち着かない様子を見せたりする場合は、母乳の量や質に問題がある可能性があります。このような場合も、専門家に相談し、適切な対応を取ることが必要です。また、赤ちゃんが泣き止まない、異常にぐずる場合は、何らかの健康上の問題が隠れている可能性があるため、医師に相談することが推奨されます。
- その他の不安がある場合: 授乳に関する不安や疑問がある場合も、遠慮せずに専門家に相談してください。母乳育児は個々の状況によって異なるため、他の人と比較せず、赤ちゃんと自分にとって最適な方法を見つけることが重要です。
5. 長期的な対策とモニタリング
体重が増えない問題を解決するためには、長期的な視点での対策とモニタリングが必要です。赤ちゃんの成長をしっかりと見守りながら、必要に応じて対応策を調整していくことが大切です。
- 定期的な体重測定: 赤ちゃんの体重を定期的に測定し、成長曲線を確認しましょう。体重測定は、自宅で行うこともできますが、医師や助産師による定期健診での測定も重要です。成長曲線をもとに、赤ちゃんの発育が正常であるかどうかを判断し、必要に応じて対策を講じます。
- 食事内容や授乳方法の見直し: 体重増加が遅れている場合、母親の食事内容や授乳方法を見直すことも必要です。バランスの取れた食事を摂り、授乳時の姿勢や方法を適切に保つことで、赤ちゃんがより多くの母乳を摂取できるように工夫しましょう。また、授乳の回数や時間を調整しながら、赤ちゃんにとって最適な栄養摂取方法を見つけていきます。
- 継続的なサポート: 母乳育児は、時間がかかることが多いため、焦らずに継続的なサポートを受けることが重要です。パートナーや家族の協力を得ながら、育児の負担を分担し、ストレスを軽減することが大切です。また、定期的に専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることで、母乳育児を成功させることができます。
まとめと今後のステップ
新生児の体重が増えないことは、多くの親にとって大きな不安の種となる問題です。しかし、適切な知識と対処法を持っていれば、母乳トラブルや体重増加の遅れに対応することが可能です。本記事では、新生児の体重が増えない原因として考えられる母乳トラブルと、その具体的な対処法について解説しました。
まず、母乳不足や授乳の仕方、母乳の質に問題がある場合は、授乳頻度を見直し、母乳の分泌を促進する方法を試みることが重要です。さらに、乳腺炎や乳房の詰まりなどのトラブルに対しては、早期に対処し、必要に応じて専門家の助けを求めることが推奨されます。また、母乳とミルクの併用が必要な場合は、専門家の指導のもとで適切に進めましょう。
体重が増えない場合には、赤ちゃんの健康状態を常に確認し、異常が見られた場合は速やかに医師に相談することが必要です。また、長期的な視点でのモニタリングを行い、赤ちゃんの成長を見守りながら、必要な対策を講じることが大切です。
最後に、母乳育児は親子双方にとって特別な時間であり、成長を見守る喜びを感じることができる貴重な経験です。焦らず、無理をせずに、赤ちゃんのペースに合わせて母乳育児を続けていくことが、親にとっても赤ちゃんにとっても最良の選択となるでしょう。今後の育児がより充実したものになることを願っています。